ユーザーは自分の問題を正しく理解できていない

顧客が欲しいのはドリルではなく穴

仕事をしているとユーザーから色々な問題の相談を受けますよね。

そんな時すぐに、言われた問題を解決しようとしていませんか?

ユーザーの言う問題だけを解決し続けても、本当の困りごとは解消していないかもしれませんよ。

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Aさんの困りごと

業務部門社員Aさんとシステム部社員Bさんの会話

この会社では、月末に大量の資料を印刷して締め切りまでに顧客に送付しなければならないのですが・・・

 
Aさん
大変なんですよ。最近急に送付先が増えちゃって、このままだと来月は印刷が間に合いそうにないんです。
Aさん
もっと早く印刷できればいいんですけど。性能の良いプリンタないですかね。

Bさん
そうですか。わかりました、高性能のプリンタを探して・・・

ちょっと待ってくださいBさん
Aさんが言っているそれ、本当の問題ですか?

今回は、実際に私が経験した内容です。

さあ一緒に考えよう

まず立ち止まってもう一度、確認しましょう。

あなたも一緒に次のことを順に考えてください。

  1. Aさんが「印刷が間に合いそうにない」と言っているのは、何に間に合いそうにないのでしょうか?
  2. 仮に印刷が遅れた場合、リカバリする方法は無いのでしょうか?
  3. Aさんはプリンタの性能アップで問題が解決すると考えていますが、それは最善の解決方法でしょうか?

問題は、印刷が遅いから・・・

まず、Aさんは資料を発送する配送便の締め切りに間に合わないと言っているのです。

そのため、配送便の締め切りに間に合わせるには「印刷を早くする必要がある」という考えですね。

印刷が遅くなると顧客への納品が間に合わない

プロセスを細かく分解

でも考えてください。

配送便の締め切りに間に合わないこと自体は本当の問題ではありません。

何らかの理由で顧客へ締め切りまでに届かないこと、それが本当の問題なのです。

顧客へ届かないことが問題だから、どうにかして届けばいい

そう考えると、「問題解決のために改善すべきポイントは他にあるかもしれない」と想像できます。

プロセスを細分化して考える

そこで、印刷から顧客へ届けるまでのプロセスをもっと細かく分解してみましょう。

プロセスを細かく分解することで、問題となる点も細かく分解して考えることができます。

その結果、解決方法もポイントを絞って検討することが可能になるのです。

印刷プロセスをもっと分解して考える

考える対象は適切か

「問題」は、顧客へ締め切りまでに資料が届かないことです。

であるならば、仮に印刷が遅くなったとしても、顧客へ届けるまでのプロセスのどこかに、リカバリできるポイントが無いでしょうか?

考えてみることにしましょう。

印刷が遅くなってもリカバリできるポイントを探す

他のプロセスで解決方法はないか

Aさんは、「印刷」のプロセスにかかる時間を短くすることで、解決を図ろうと考えています。

でも、他のプロセスで解決方法はないでしょうか?

あなたなら、どう考えますか?

さて、いかがでしょう。

僕も、いくつかの方法を考えてみました。

この他の方法もあるかもしれませんね。

他のプロセスで解決方法を探す

問題発生の背景を確認

解決方法を検討するには、合わせて問題が発生した背景も確認しておく必要があります。

このケースでは送付先が増えたため、印刷に時間が掛かるようになったという事象が発生しています。

この事象は顧客の拠点が増えたためなのか、それともシーズン的に普段は送付していない拠点に送付するためなのか、を押さえておく必要があります。

顧客の拠点が増えたという理由であれば、恒常的に時間短縮する方法を考える必要があります。

しかしシーズンだけの一時的な現象ということであれば、エクスプレス便(通常よりも割増料金で早く届けるサービス)を利用した方が、新規にプリンタを購入するよりも合理的な解決策かもしれません。

本質的な問題分析

本質的な問題を分析するために、次の点を押さえましょう。

  • ユーザー(=今回はAさん)が言っている表面的な事象に惑わされない
  • 事象が発生した背景を確認
  • 問題が発生している業務の一連のプロセスをできるだけ細かく洗い出す

そして、本質的な問題を解決するためには、どのプロセスに対して改善を行うことが合理的なのかを考えます。

複数プロセス同時進行のケースはまた別に

今回はプロセスが一直線に進んでいくケースを見ましたが、複数のプロセスが同時進行する場合にはボトルネックがどこか、ということを考える必要があります。

それについては、別の機会に考えましょう。

「穴とドリル」

さて最後に、今回取り上げた問題分析はある意味、マーケティング業界で言われる

ドリルを買う人が欲しいのは「穴」である

という言葉と同じ考え方だと言えます。

ドリルを売るには穴を売れ | 佐藤 義典 | 本 | Amazon.co.jp

本当に解決したい問題は何なのか?」を常に問いかけてください。

ちなみに、今回のケース

実際はどうやって問題解決したか・・・

顧客に了解をもらって、資料を紙で送ることを止め、データで送ることにしました。

(その結果、年間約1,000万円のコスト削減も同時に実現!)

顧客が欲しいのは、資料に書かれてる内容であって、紙が欲しかったわけではないんですよね。

正に、「穴とドリル」でした。